平成時代の相続税制を振り返る


 平成時代の相続税制を振り返ると、減税路線から増税路線に切り替わっていることが分かります。

 現行の相続税制は70年前の「シャウプ勧告」に基づく税制改革で誕生した税法がベースとなっています。相続税法の創設当時(昭和25年)は最高税率90%でスタートしましたが、2年後(27年)には70%に減税。昭和50年の税制改正で75%に引き上げられました。63年には70%に戻されたほか、基礎控除額と配偶者の非課税限度額が引き上げられるなど、全体として税負担が軽減される改正となりました。

 平成時代に入ってからも昭和63年の改正と同様に、減税路線で進みます。基礎控除額は、路線価の上昇で相続税負担が過大になっていたことなどを背景に、平成4年に定額部分が4千万円から4800万円、法定相続人の人数に応じて変動する部分が1人当たり800万円から950万円へと再び拡充。さらに6年にはそれぞれ5千万円と1千万円まで引き上げられました。

 しかし平成の最終盤に、それまでの減税路線とは反対方向に舵を切ります。27年に最高税率の拡大と基礎控除額の縮小が行われ、納税額が高額になる「重負担化」と、以前であれば納税の必要がなかった人まで課税対象となる「大衆化」が進んでいます。

 事実、相続税の税収は25年まで10年以上の間1兆5千億円前後でしたが、30年には2兆2千億円へと大幅増となりました。また平成6年以降20年以上4~6%の間に納まっていた課税割合は27年に8%へと跳ね上がっていて、相続税対策を必要とする納税者が激増している状況です。

<情報提供:エヌピー通信社>





2019年06月10日